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第48回日本血栓止血学会学術集会 市民公開講座

  • テーマ:血が止まりにくい病気と固まる病気

    日 時:2026年5月30日(土)15:20 ~ 17:20

    会 場:小田原三の丸ホール 小ホール

    主 催:日本血栓止血学会

    共 催:ファイザー株式会社

  • プログラム
    • 司 会:瀧 正志 (聖マリアンナ医科大学病院 小児科)

      演者①:日笠 聡 (兵庫医科大学)

      演 題:出血しやすい病気, 止まりにくい病気
      血液は,血管の中では常に液体として全身をくまなく流れています.しかし,ひとたび血管が破れて血液が外に出ると,短時間 のうちに固まり(凝固し),出血を止めます.しかも,この「液体から固体へ」という反応は,出血した局所に限定され,無制限 に広がることはありません.このような相反する性質は,血液中の細胞成分やさまざまなタンパク質成分が精密に働くことによっ て巧みに調節されています.この調節機構に異常が生じると,「出血性疾患」や「血栓性疾患」が発症します.出血性疾患とは, 本来であれば問題にならない程度の軽い打撲や外傷で出血しやすくなる(易出血性),あるいは出血が始まるとなかなか止まらな い(止血困難)といった症状を示す疾患です.一方で,通常は血管内で固まらないはずの血液が血管内で固まり,血管を詰まらせ てしまう疾患は血栓性疾患と呼ばれます.出血性疾患の症状は,大きく二つに分けられます.一つは,紫斑(青あざ),鼻出血, 歯肉出血など,体表に近い部位に生じる「表在出血」です.これは主に血小板や血管内皮細胞など,血管内の細胞成分に異常があ る場合にみられます.もう一つは,関節や筋肉内に生じる「深部出血」です.こちらは,血液を固める働きを担うタンパク質(凝 固因子や線溶関連因子)に異常がある場合に多くみられます.本講演では,表在出血をきたしやすい血小板減少症(たとえば免疫 性血小板減少症や血栓性血小板減少性紫斑病など),および深部出血をきたしやすい凝固因子欠乏症(血友病やフォン・ヴィレブ ランド病など)を取り上げ,それぞれの診断と治療の現状,さらに日常生活での注意点について分かりやすく解説いたします.ご 自身やご家族,ご友人に「出血しやすいかもしれない」と感じている方がおられましたら,ぜひこの機会にご参加いただければ幸 いです.


      演者②:羽藤 高明 (愛媛県赤十字血液センター)

      演 題:「献血は血の固まり具合を治す製剤を生み出す」
      皆様から献血していただいた血液には赤血球,血小板,血漿の成分が含まれていて,それらの成分ごとに輸血用血液製剤が作ら れています.赤血球製剤は貧血の治療に使われますが,血小板製剤と血漿製剤は血が固まらない患者さんに使われます.血小板は 血を固まらせるのに重要な成分で,抗がん剤の副作用や血液の病気によって血小板が減少すると皮膚に紫斑が出るほか,ときには 脳出血をきたすこともあるため,血小板製剤を輸血して血小板を増やす治療が行われます.また,交通外傷などによって大量出血 している患者さんには赤血球,血小板,血漿のすべての製剤が投与されますが,血を固まらせるのに必要な成分を含んでいる血漿 と血小板をなるべく早く投与することが救命につながるとされています.さらに,血漿の一部は製薬会社に渡され,それをもとに フィブリノゲン製剤,免疫グロブリン製剤,濃縮血液凝固因子製剤などが作られています.これらの製剤は大量出血や血液の病気 の治療に使われています.また出血とは逆に,血が固まりすぎて血管が詰まってしまう血液の難病があり,血漿製剤はそのような 患者さんの命を救う治療にも使われています.このように献血の血液は輸血に使われるだけでなく,いろいろな製品に姿を変えて 血の固まり具合を治す治療に大いに役立っています.


      演者③:家子 正裕 (札幌保健医療大学)

      演 題:健やかな血管で血栓症のない毎日のため
      私たちの体の中を流れる「血液」は,血管の中では固まらず,血管の外で固まるという面白い性格を持っています.しかし,あ る状態では,血管の中で血液が固まり,恐ろしい「血の塊(血栓)」ができます.その血栓によって現れる症状を血栓症と言います. 最近,日本人でも血栓症は増えてきています.心臓を養う動脈血管(冠動脈)に血栓ができると心筋梗塞,脳の動脈血管にできる と脳梗塞になり,どちらも命に関わる重大な状況を招きます.また,足の静脈血管に血栓ができる「エコノミークラス症候群」は よく知られていますが,そこから血栓が飛んで肺の動脈が詰まる「肺血栓塞栓症」は,突然死を招く恐れがある重大な合併症です. 長時間の座り仕事や避難所生活などでは注意が必要です.血栓を防ぐ一番の薬は,日々のちょっとした習慣です.こまめな水分補 給で血液のドロドロを防ぎ,座りっぱなしを避けて足の指を動かす.これだけでリスクはぐっと下がります.そして高血圧や糖尿 病といった基礎疾患も大切になります.この講座では,皆さんの大切な血管を健やかに保ち,いつまでも元気に自分らしく過ごす ための具体的なコツを,わかりやすくお伝えします.